― 2026年 年次大会 開催報告 ―
一般社団法人 プラネタリーヘルスイニシアティブ(PHI) は、2026年立春を越えた節目の日・2月8日に、年次大会を開催いたしました。
図らずも、解散総選挙の開票日と異例の大雪が重なる、社会も環境も大きく動く一日となりましたが、そのような中にあっても、全国各地から多くの皆さまにご参集いただきました。心より御礼申し上げます。会場には、北は東北各県から南は鹿児島まで、全国各地より多くの実践者・研究者・自治体関係者・企業関係者が集いました。

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プラネタリーヘルスを社会の基盤へ
本大会は、「プラネタリーヘルスを理念にとどめず、社会の基盤として実装していく」ことを目的に開催されました。人の健康、地域社会、経済、そして地球環境を切り分けず、一つの生命システムとして捉え直す――その視座を、思想・身体・食・医療・農・経済・政策、そして社会実装へつなげていくための重要な1日になりました。
当日は、選挙対応のため、赤澤亮正経済産業大臣はご欠席となりましたが、「ネイチャーポジティブ宣言」を実現した鳥取県 平井伸治知事、また、プラネタリーヘルスに賛同いただいている農林水産省 山口靖農産局長 が来賓としてご参加くださり、ご挨拶をいただきました。


開会挨拶|「国語・算数・理科、プラネタリーヘルス」

開会にあたり、代表理事・桐村里紗より、
「国語・算数・理科、プラネタリーヘルス」
プラネタリーヘルスは、この地球に生き、未来を紡ぐすべての人に関わる新しい時代のリベラルアーツであり、実践である
というメッセージが共有されました。
立春を越え、2026年が本格的に始動するこの日に、プラネタリーヘルスを一気に社会へと開いていく決意 が示され、大会は幕を開けました。
基調講演|分断された世界を「和合」させる
基調講演では、代表理事の桐村里紗が、医療・経済・環境・文化は本来つながっており、日本列島に古くから根づく「和合」の思想を、現代社会に取り戻す試みであると語りました。
特に重要な「経済」のあり方として、流域における稲作・田んぼ・森林が持つ多面的な自然資本の価値を示し、「安全保障」「ネイチャーポジティブ」「サーキュラーエコノミー」「グリーントランスフォーメーション」「二地域居住」など国の政策を一つの流域・生命圏の中で同時に実現していく地域未来戦略の設計図としてプラネタリーヘルスを位置づけました。
プログラム1|「和」の食文化とプラネタリーヘルス — 稲作と人類学、そして持続可能なレストランの役割

登壇者:
- ファシリテーター:佐藤洋一郎 氏(京都府立大学名誉教授 / ふじのくに地球環境史ミュージアム館長)
- 生江史伸 氏(日本サステイナブル・レストラン協会理事 / レフェルヴェソンス エグゼクティブシェフ)
- 玉利康延 氏(文脈デザイン研究者、ブランドコンサルタント)
稲作研究の権威・佐藤氏より日本列島における稲作の歴史・文化的背景が共有され、「草木国土悉皆成仏」の精神であることが語られました。レフェルヴェソンスの生江シェフからは、リジェネラティブ・レストランとして人と自然の相互作用を料理として表現していく姿勢と、レストランを心を静め学ぶ場にしたいという思いが共有されました。和食人類学の玉利氏からは「和食」を文化の積層として捉える視点が提示されました。
プログラム2|流域を治す医療とプラネタリーヘルス — 水脈からはじまる命の再生

登壇者:
- 石黒伸 氏(アクアメディカルクリニック院長 / PHI理事)
人の身体と自然環境の相似性を示し、流域の水脈を再生することと身体の循環を回復することは同じ原理であるという視点が語られました。環境を癒すことは身体を癒すことであり、流域の再生と人の健康は不可分であることが、医師の経験と洞察から示されました。
プログラム3|田んぼという自然資本の社会実装

登壇者:
- 山口靖 氏(農林水産省 農産局長)
- 鈴木秀之 氏(NPO法人環境ルネッサンス代表理事 / 「環境王国」顧問)
- 大木伸一 氏(福島県天栄村役場産業課長)
- 外山京太郎 氏(群馬県川場村村長)
- 末次義晃 氏(鳥取県江府町産業建設課長)
- 桐村一平 氏(天籟株式会社代表取締役 / PHI理事)
「環境王国」加盟自治体(天栄村・川場村・江府町)の取り組みが紹介され、田んぼを自然資本として捉え直す実践が共有されました。「農業は、生命維持産業である」 というメッセージとともに、農林水産省の立場から政策支援の重要性が示されました。
ビジョン:三つの柱|社会実装のために同時に動かす領域
大会を通じて、プラネタリーヘルスを社会に実装するためには、ガバナンス・教育・ビジネス という三つの領域を同時に変革し動かす必要性が共有されました。
PHIはこの三つの領域を切り離すことなく一体として動かしながら、人が生きることで人・地域・地球が健全になっていく社会基盤を、実践を通してつくっていきます。
変わる。変態する。
閉会では、「変わるという決断」 が呼びかけられました。
文明の大変革の特異点を突破した今、変わり続ける人、変態し続ける個体しか生き残らない。
「変態万歳」三唱 が行われ、会場は大きな拍手と笑顔に包まれ、年次大会は力強く幕を閉じました。

おわりに
プラネタリーヘルスは、誰か特別な人のための概念ではありません。
この地球に生きる、すべての人の教養であり、実践です。
2026年。ここから、プラネタリーヘルスは一気に社会へと展開していきます。その動きを、皆さんとともに進めていきたいと思います。これからもどうぞよろしくお願いいたします。